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リフォームかわら版
その2
内装材で快適空間! まず木を知ろう
輸入材を検証する:ドイツモミ VS カナダツガ
山下 幸一 氏
有限会社 山下工務店 (代表取締役)

宮崎 豊  氏
カナダツガ・パートナー協会
(ジャパン・プロジェクト・
ディレクター)

「ドイツモミ」って何? 「カナダツガ」ってどんな木?

――  今日は山下さんと宮崎さんのお二人に内装用洋材について、とくにカナダツガとドイツモミを中心に、皆さん知らない方が多いと思いますので、お話して頂きたいと思います。まず木の種類から始めましょうか。外材の中でもドイツモミとカナダツガというのはどんな特徴があるのですか。

○宮崎  見た目は、木肌が白くて節のない綺麗なものというとドイツモミ。カナダツガは色味がもう少し暗くなりますが、面の上品さはよく似ています。これがベイマツだと木目がくっきりとしすぎていて急に田舎くさくなります。

○山下 もともとモミの木というのは枝だらけの木で、自然のままでは無地の木は殆ど取れません。ですから日本では桶や箱物、搭婆用が殆どで、これまで建材としてはあまり使われて来なかったのですが、ドイツのモミの木は百年以上前から枝打ちされ、今現在伐採されている樹齢150年から200年前後の木というのは、根元から12メートル位まではまったく枝のない状態で育っています。

○宮崎 僕が今仕事で扱っているカナダツガは、80%が国際的に言う本当のツガの木、残りの約20%がいわゆるモミの木で、マツ科モミ属、マツ科ツガ属と若干グループが別になります。ただ、ツガの木はモミの木に一番近いと言われていて、その最大の特徴は、マツ科の植物はほとんどヤニがあるのに、この二つはありません。これが構造材なら問題はないのですが、内装材として使うとなると大変ありがたい材料となります。

モミやツガの木の湿度の調整能力や臭いを取ってしまう能力は、実はヤニが入っていないことに起因していて、気孔部の内部が全部空いているので、ノンスメルの中に入っている活性炭と同じような機能を持っているのです。反対にヤニの入っている木はその中が樹脂で埋まってしまっているので、調湿効果はその分落ちます。

ニスを塗って一番綺麗になるのもモミとツガで、それは今の調湿効果と一緒で、ニスがスムーズに染み込むので非常に深みのある塗装が可能です。でも、塗ってしまったら、この木の調湿能力は落ちてしまいます。

――  ヨーロッパではモミの木はよく使われているのですか。

○山下 モミの木は、ヨーロッパではトウヒとともに腐りにくく神聖な木としてとても信仰があって、世界遺産に登録されている木造教会にも使われています。

―― 日本では、モミは腐りやすい木というイメージが強いのではないですか。

○山下 それは、姫路城の天守を支える2本の芯柱が、元々モミの木だったのが根本の部が腐ってしまって、確か昭和の大改修の時に、やっぱりヒノキじゃなきゃ駄目だと、1本ヒノキに入れ替えられてしまったのです。その話が浸透してしまったようですね。

ただ、専門の研究者に言わせると、当時はそれだけの長い木を乾燥させる技術もなかったし、伐採してすぐに使ったのだろうと。だからけしてモミの木が腐りやすいという事ではないのです。今も奥多摩の方に行くと、百何十年経ったモミの木の家が残っています。実際に奥多摩はモミの木の産地だったらしいですね。

――  山下さんはどうして今、「もみの木の家」を建てようと思ったのですか。

○山下
たまたまお客様から、「モミの木が健康にいいと聞いたけれども、実際のところはどうなの」と問い合わせを頂いたのがきっかけです。アレルギーやアトピーのお子さんを持つ親御さんたちは、本当によく勉強していますからね。それで、モミの木の建材というのはどういうものだろうと勉強を始めたのが最初です。
ドイツモミを使ったモデルハウス(山下工務店)

○宮崎 「もみの木の家」のモデルハウスを拝見しましたが、これだけの柾目取りをしているということは、内装材として非常にグレードが高いですね。

先程お話しした調湿効果ですが、実は柾目でないと、モミの木であっても効果は少ないのです。柾目が欲しいとなれば、話は柾目が取れる大きな丸太が必要で、それは森林管理と資源管理が必要となります。

○山下 ドイツから持ってくるモミの木は、コンテナに入る丸太の長さが最大で11m50cm位になるらしいのです。それでも一番細いところの切り口は、直径45cm以上を条件にしています。


輸入材は国産材に劣る?

○山下 同業者さんと話をしていていると、「モミの木って外材でしょう」ってよく言われます。だから「外材ですよ」と言うんです。何が悪いのって。

―― そこだよね。外材は悪いのかな、和材に比べて。

○山下 ドイツのモミの木は非常に管理されていて、最低でも推定樹齢150年以下の木は一切切ってはいけないことになっています。伐採するとその脇から芽がバーッと出てきて、その中で新しい競争が始まって、勝ち抜いた木がまたそこで何百年育っていく。そういうことを繰り返すことによって、ちゃんと森が管理されているんですね。植林中心の日本とは、根本的に管理の仕方が全然違います。

―― カナダツガはどうですか。

○宮崎 森林資源の永続的な利用を可能にするために、持続可能な森林管理がなされていることを表す「森林認証」という制度があるのですが、カナダは世界の中で認証森林面積がダントツトップの国です。たまたま公有林が多いという背景から管理がしやすかったので、他の国よりも先に森林管理システムを実施することが出来たということもあると思いますが、それは完璧ですね。

日本の森林の最大の問題点は、今ヒノキやスギが生えている山の多くは、もともとその木が生えていた山ではないということです。だから日本ではスギの木を伐採したら、次はスギの木が生えてこない。もともと生えていた木が生えてきて、元に戻ってしまうのです。

―― 日本のヒノキ信仰はどこからきたのですか。

○宮崎 それは京都に都があった時代の名残です。ヒノキの文化というのは吉野辺りだけで、本当は自然にヒノキが生えていた森というのはそれほど無くて、殆どの地域の人はヒノキの木を見たことがないはずです。

実際お城などで残っているのを見ると、各県、各地方で随分色んな木を使っているようです。

○山下 ヒノキもそうですが、日本ではもともと和ツガは高級な木として扱われていたし、本モミと言われる日本のモミも非常に神聖な木として使われていたのです。

北半球に限られますが、たまたま仲間が世界各地にあったので、その中から似たようなものを探してきて、今のようにカナダツガだったりドイツモミだったり使うことが出来るわけで、幸せだと思いますね。

そういう意味で「外材でしょ」って片付けるのではなくて、地球規模で考えれば、けして外材は悪者にはならないはずなのですが。


えっ、木の空間は精神が集中できるの?

――  これらの木をどんな風に使っていけば快適な生活が出来ますか。
○宮崎 最近の住宅の問題としてぜひ知っておいて頂きたいのは、室内の音の響きです。

内装材は堅い材料ほど高音を反射します。キンキンした音ばかりが残響として残ってしまい、すると部屋の中に居る人の精神状態も悪くなるし、快適ではなくなります。最近は、木の家ですよ、フローリングですよと言っても、実際にはカチンカチンのシートを貼ったようなものが多いですから、普段喋ったり、勉強したり、音楽を聴いたりしていても、飛び交っている音は、本来耳にしたくないキンキン音を皆さん聞かされている状態になっていると僕は思うんですね。

もう一つ、僕が今とても気になっているのは、昔と違い施工制度が非常に上がっていて、壁や天井があまりにも平行線で真っ直ぐだと、パンと手を叩くとピュルルルルと音が残るんですよ。結局高音だけが行ったり来たりして、きつい音が響いて残るわけです。

ここに例えば柔らかい木を貼ると、その反射音が柔らかい音に変わって、耳に入って来る音は明らかに良くなるはずです。塾の教室をモミの木に張り替えたら効果が上がったというのは、僕は必ずしも眉唾ものではないと思います。

―― でも、それで勉強が出来るようになると言ってしまうと、何か行き過ぎでは。

○宮崎 キンキンした音を常に聞かされた状態で勉強するのと、そうした音が無くなった状態で勉強するのだったら、どっちの方がいいですかと。まぁ、この程度の質問にしておけばいいと思います。

―― その意味では、子供部屋の改装にはいいかもしれませんね。

○宮崎 室内に柔らかい木を使うことで、多分必ずいい成果が上がると思います。床材に針葉樹を貼るというのは、キズがつくという理由で今の業界では邪道かもしれませんが、本当は一番やりたいことの1つじゃないでしょうか。

そうした意味もあって、僕はもともと弦楽器弾きだったものですから、リフォームコックさんでも、内装をそうした素材にこだわってみてはどうですかというトークと演奏会をやらせて貰っています。理想的には平行面を無くして素材を選ぶ、この2点ですね。特にリビングルームをこうした柔らかい木の床や壁に替えると、音響的な響きは大きく変わります。

○山下 特に高気密高断熱住宅で全面クロス張りの部屋というのは、本当に響きますね。


調湿・消臭効果をトイレで実感!

○山下
最近、トイレに換気扇を付けて欲しいという依頼があったのですが、ブロック造の建物で、壁に穴を開けるのが大変なんです。そこで換気扇を付けなくても、モミの木を張れば大丈夫ですよと言ってリフォームをさせて頂いたのですが、臭いが本当に無くなったと、とても気に入って頂いています。
ドイツモミを使ったトイレ 

○宮崎 洗面所なども効果がありますね。面積もそれ程広くないし。

―― これまでモミの木の話が多かったのですが、カナダツガはどうですか。

○宮崎 日のような木材の質を説いていくと、カナダの西海岸材の価値を評価していただけると思います。

――  お金の面はどうですか、高いの?

○山下 高いです。ただ、ヒノキでこの柾目をやることを考えると、とんでもなく安い。

○宮崎 これだけの柾目をヒノキで取れと言ったら天文学的金額になりますから、一般的にあり得ません。

○山下 ですから、この板は一枚6千円ですよといった話を最初にします。値段も大事ですが、まずこの空間を気に入ってくれた方でないと。そのためにもこの「もみの木」のモデルハウスが必要だったのです。

実際、寝室やトイレというのは即効果が出ます。すごくよく眠れたとか、暖かかった、といった声を頂きます。クロゼットも、そこまでやらなくてもと言われたのですが、出来上がって扉を開けてみると臭いが全然違うと喜ばれました。体験したお客様には伝わるのですが、体験していないお客様にはなかなか分かって貰えないので、その辺をどう伝えていくかが課題です。

―― お二人とも、今日は本当にありがとうございました。


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